『ねぇ姫君・・・』

『お前の名前はなんていうんだい・・・』

『その瞳は・・・今なにを見ているんだい?』

真新しい畳の香りがする・・・
とても、懐かしく、とても良いにおい。

誰かが頭をなでている。
とても優しく・・・心地よく・・・・

誰・・・・?



遙彼方で・・・  第4話

「う・・・・ぅん」

『目が覚めた?』

声がしたほうを体を動かそうとして体に激痛が走る。

『おっと、まだ動かないほうがいいよ、なんせアイツにまで頼んだ怪我だ』

「・・・・こ・・・ここ・・・は・・・・?」

『ここは熊野、お前は偶然にもオレの家の近くに倒れていたんだ』

「(こいつ・・・さらっと嘘ついてる・・・)」

いくら私が山から出たことがなくても、こいつから香ってくる匂いが
山の匂いとは違う匂いだと気がつかない訳ではない。

『で・・・姫君、どうしてこんな怪我をしたのか教えてくれるよね』

「・・・山へ・・・かえっっ・・・・る」

『おっと、動いちゃだめだって。』

「うるさい!!!わっっわた・・・しに構う・・・な」

『さて・・・何処から説明しようかな・・・取り合えずお前の山は今はもうないよ』

「!!??なっっなにを言っているっっ!!!」

『お前が居た山は、6日前の戦火ですべて焼かれてしまった』

さっきまでの軽口とは違って言葉に重みがあった。

「そっっそんなわっっけあるはずがっぁ・・・・」

『動くないって言っただろ・・・信じられないのなら、怪我を治してから見に行くといい』

「ぐっ・・・・そんな・・・・訳が・・・・・」

『ちっ傷口が開いたかな・・・おい弁慶を呼べ!』


信じられる訳がなかった・・・・
母上の眠る、山が・・・・なくなったなんて・・・・
信じられる訳が・・・・・



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