人とは・・・・
人であるとは・・・
女人であるという事は・・・
実に・・・
難しい。
遙か彼方で・・・
第7話
『そうではありませぬっっ』
びしっっっと音が鳴り響く。
「いっ痛いではないか」
『女人なのですからそんなに大股で歩いては着物がはだけてしまいますっ』
「・・・しかし動きにくいぞ」
『当然ですっ女人とは、物静かに・・清楚よく・・花のようでなければならないのですっっ
そもそもさまの着られていたお召し物は人の着るものではございませんっっ』
今では、何処かにしまわれてしまった山で身に着けていた
動物の皮で出来た服・・・
今着ている服と比べたら全く違うものだが、
それはそれで利点があった。
たとえば冬になれば毛皮だから暖かいとか、
皮で出来ているから、山を走り回って枝に引っかかっても破けない。
今着ている【着物】では簡単に破けてしまいそうだし、
何よりも重い、これでは走る事はおろか歩くのすら困難だ。
『頑張っているみたいだね・・・ご機嫌は良くなさそうだけれど』
スーっと襖が開くのを感じて目をやるとやや呆れ気味なヒノエが来ていた。
今まで目を吊り上げて女人とは・・・と話していた女房が入れ替わりで退室して行くのが目に入る。
「これが、お前の言っていた【私のためになる事】なのか?」
『ああ、そうだよ、ここで頑張って覚えておけばも女人として人里でやっていけるさ』
「・・・やはり私には必要の無い物だな、人里でなど暮らさない、女人として生きていく必要などない」
『・・・そう言っていられると思うかい?』
「・・・?」
『前に教えたように、お前の住んでいた山はほとんどが焼かれている・・だが平家が山神の住んでる山を焼いたくらいで納得すると?
平家からしたら神に火を放ったんだ、ましてや肝心のお前は見つかっていない・・・
そこにお前が帰る、お前は今までのように振舞う・・・・どういう事になるのか・・・分かるね?』
「・・・・・私を狙ってまた山にくる」
『そうゆう事、だからお前は嫌かもしれないが見つかった時にそれをごまかせられるようになっておかないとね・・・お前のためだ』
自分の考えの甘さを痛感した。
私は無知だ、源氏も平家も・・・戦も。
人の世界はこんなに複雑なんだと、
だから母上は私が山から降りる時あんなに不安な目をしていたのか。
中途半端に人と関われば、
こうなると知っていたから・・・
兄弟達を殺したのは・・・私だ。
私の無知が・・・・山を燃やした。
今、元の暮らしには戻れなくてもいつか・・・いつか取り戻してみせる。