逢えなかった時間を・・・

話せなかった事を・・・

見れなかった笑顔を・・・

取り戻すように・・・



遙か彼方で・・・

第10話



弁慶の冷ややかな言葉を受けて
お互い赤い顔をしながら離れたあとも

話したい事が多く、
自然と夕食の後は杯を片手に話をしていた。

『前にのところに行った時の馬を覚えているか?』

「勿論覚えている、変わった馬だったな・・・」

『あいつがお前の匂いを覚えているのか、
ここについてからずっと機嫌がいいんだ』

「あの馬は、
私たちが突然現れたのに一瞬だけ警戒してその後は全く気にしてなかったからな
忘れろと言われても忘れらないさ」


『ずいぶんと姿が・・・変わったな』

「ああ、ヒノエが色々教えてくれたんだ・・・山に居た頃のままだと不便もあるからと」

のいた山に行ったといっただろう?』

「ああ」

『其処でお前の側にいた奴に良く似た狼を見たんだ』

「えっ・・・?」

『前のように群れではなく、一頭だけだったんだが・・・』

「九郎!その話は本当か!?本当に見たのか!!??」

『狼を見たのは本当だ・・・だがと一緒にいた狼かまでは・・・』

「どっどこだ!!??川の辺りか!!??」

『っっッ苦しいぃっっ』

、そろそろ離してあげないと九郎が死んでしまうよ?』


気がつけば馬乗りの勢いで九郎の胸倉をつかんで締め上げてしまっていた。


「っっおおっすなない・・・つい」

『夜風は身体を冷やすからね・・・
折角美しい女人になったんだから、そんな格好していたら勿体ないよ・・・姫君』

すぐに離れて元居た位置に戻ろうとしたら、
ヒノエが上着を書けてくれた。

「うっ美しくなど・・・・みっっ耳元で囁くのはやめてくれ」

『話し方も戻ってるよ?』

「あ・・・すみません、つい再会が嬉しくて・・・」

は、そのままでも良い気がするのだが・・・十分・・・その・・・美しい』

『何も知らない奴が口を挟まないで欲しいね』

なんだか九郎とヒノエの間に入れない空気があるのは、
きっと気のせいではない。

『今日はもう疲れただろ・・・?部屋に送るよ』

「いや・・・あ・・・そうですね、では今日は部屋に戻ります」

、また明日も話せるか・・・?』

「ええ、また明日・・・」

本当は疲れてなどいないしまだ話したいと思っていたが、
有無をいわせないヒノエの態度から、
仕方なしに部屋に戻る。

部屋までの移動の間、
ヒノエはずっと黙ったまま、
不機嫌だった。