面白くない。

お前を見つけたのはオレなのに・・・

なんで他の男なんかと・・・

面白くないね。



遙か彼方で・・・

間章  


平家と源氏の動きを探らせてる烏から妙な噂を聞いて、
確かめる為に熊野を発つ時、
アイツはまだ何処か居心地の悪そうな顔をしていた。

それからしばらくして、
熊野に置いてきた烏から、アイツの話を聞くたびに早く帰りたいって何度も思った。

そんな中おとぎ話だと思ってた【白龍の神子】が弁慶と一緒に現れた。
正直、興味はあったけどオレには関係ない・・・って思っていたのに、
ちっこい銀髪の奴がオレが八葉だとか言いやがった。

【白龍の神子】には興味あったし、聞けば神子姫様は源氏側にいるというし。
熊野水軍に協力を求めに行く・・っていってたから、
しばらく一緒に行動する事にした。

熊野に向かっている道中の宿で九郎がぽつりぽつりと話出しだ。

『俺は望美や朔殿を戦に巻き込むのが怖い・・・』

『へぇあんたでもそんな事思うんだ』

『あぁ・・・』

言い返してくるだろうと思っていたのに、拍子抜けだ。
そこへ、酒瓶を手に弁慶が現れた。

『九郎は、ある女性を巻き込んで不幸にしてしまったと・・・後悔してるんですよね?』

真剣な顔をしている九郎の横で
女に全く免疫のなさそうな奴だと思っていたけど、
そうでもなかったんだな・・・とか他の事考えてた。

『あんたから女の話が出るなんて思ってなかったよ、どんな美女なんだろうね』

軽口を叩きながら受け取った酒瓶から九郎の杯に移す。
九郎は何か思いつめたような顔をしてグイッと一気に飲み干し一息ついてから話し出した。

初めての戦の時に、ある山で狼と暮らす少女と出逢った事。
とても儚く、美しい少女だった事。
2度目に会いに行って、平家につけられて居たと気づいた時には山が焼かれて居た事。
少女の安否を確かめたく山に行ってみたものの、
そこにあったのは、無残に焼かれた少女の兄弟立ちの亡骸だった事。

そして、少女の名前が【】である事。


面白くない。
本当に面白くない。

は確かに源氏に心当たりがあるとは言っていた、
だけど、まさかそいつとこうして顔合わす事になるなんて思ってなかった。

『九郎は・・・その少女に会いたいですか?』

弁慶は九郎に話しかけているのに、九郎でなくオレを見ながら言った。
つまり、の事を話す・・・そういいたいのだ。

面白くない。

アイツは、オレが見つけたのに。

オレが・・・

オレが・・・