此処は何処・・・?
懐かしい匂い・・・
ああ・・・
そうだこの匂い譲君の匂いに似てるんだ―――
【dilemma】第6話
目が覚めたらそこは知らない天井だった。
傷には手厚く手当てされてて、
気を失う前ほどの痛みは引いていた。
「ここ・・・何処だろう・・・」
体を横に向けると上に掛けてあった布から懐かしい香り。
「譲・・・くん・・・」
不意に懐かしい人の面影を感じて涙が溢れた。
『――――――なんだ?』
『ええ――――――れたようで』
少し離れた所から話し声がする、
こちらに向かってきてる。
『お前達は入ってくるな』
『はい』
スッと微かな音を立てて話し声の主が入ってきた。
涙を見られないように顔を背ける。
『目・・・覚めたんだな』
「・・・」
なんだか懐かしく、聞き覚えのある声。
しかしまさか・・・
『・・・はぁお前・・・だろ・・・』
「えっっっつぅぅ」
勢いよく体を動かしたせいで激しい痛みが走る。
『やっぱりな・・・譲の彼女だろ?なんでこんな所にいるんだよ』
「どうして・・・将臣先輩が・・・」
『それは俺が今質問しただろ?質問に質問で返すなよ』
「あ・・・ごめんなさい、でもよくわからなくて・・・」
『そっか』
それだけ言うとため息をつきながら腕を組んでしまった。
『・・・望美は・・・譲は?』
「・・・」
『一緒じゃないんだな・・・』
こくりとうなずく。
「先輩・・此処は・・・?」
『此処は俺が世話になってる屋敷だ、だから安心して寝て傷なおせよな?』
「・・・はい」
部屋の中を見ると質素な作りでも見る人が見れば贅が尽くされてるとわかる部屋。
将臣先輩が着てる物も武将が身に着けるような物。
ここが民家ではない事は戦に詳しくないにもわかる。
『まっ安心してってのはムリかもしれないけどな、とりあえず取って食ったりしないから傷治せ?』
「ありがとうございます」
『なんかほしい物あったら俺にいえな?ちょくちょく様子みにきてやるから』
「本当に色々すみません、ありがとうございます」
『お前、お礼言ってばっかだな』
そう言うと人懐っこそうな笑い顔で私の頭をガシガシ撫でた。
女子の先輩が将臣先輩が格好良いって言ってた意味が少しわかったきがする。
『―――様!知―――な―――』
にわかに外が騒がしい。
『やばいな、アイツもう嗅ぎつけたのか?』
「あいつ?」
『んぁ?まぁ気にすんな?ゆっくり休めよ』
「はい」
『じゃぁな』
将臣先輩が出て行った後、
騒がしいかったのが嘘みたいに静かになって、
時々部屋の前を人が通るだけだった。
傷自体そこまで深くないのか、
2日も経たないうちに起き上がれるようになった。
『食事だ〜って、もう起きて大丈夫なのか?』
「はい、傷自体そこまで酷くなかったようですし、ずっと寝たままだとなんだか落ち着かなくて」
『飯食いながらでいいから・・・お前がこっち来た時の話聞かせてくれないか?』
「・・・私は譲君と渡り廊下を歩いていたんです・・・そしたら子供の声が聞こえて・・・」
『そこまでは俺と同じなんだな・・・』
「渡り廊下の先に望美先輩と将臣先輩がいたんですよね」
『あぁ・・譲とお前を見て、その後望美が子供と話していたんだよなぁ』
「そうなんです・・・その後は・・・
突然川に投げ出されたみたいになって・・・先輩達や譲君と離れてしまいました」
『なぁ?お前こっちにきてどのくらいになる?』
「稲刈り前に・・・はこっちにいたので・・・もうすぐ一年くらいでしょうか・・・」
『そうか・・俺より1年遅いんだな・・』
「えっ将臣先輩は1年も前にこっちに???」
『あぁ、んでこの屋敷の主に拾われたんだ』
「そうなんですか・・・」
『なぁ・・知らないとは思うけど・・望美は・・・』
二人の間に重たい空気が漂う。
『わりぃ・・お前も譲とはぐれちまってるのに・・』
「大丈夫・・・ですよ、きっと譲君と望美先輩は一緒ですから・・・」
バタバタバタバタバタバタバタバタッッ
凄まじい足音とスパーーーーンっって音と共に勢いよく襖が開かれた。
「えっ」
いきなりの侵入者に思わずビクつく
『はぁ・・・・・・・・・』
『重衡っっ姫が目覚めたと言うのは本当か!!??』
「ひっ姫???」
見た目はやたらえらそうな子供―――
背中には何やらチョウチョのような羽―――
その周りを不思議な玉が浮いている―――
あまりにいきなりの登場に唖然としていた。
まさかこの子供が自分の命運を左右する人物だなんて思ってもいなかった―――