一人が怖かった。
一人になるのが怖かった?
守りたかった。
今の私を象るすべてを―――
【dilemma】 四話
長の言っていた通りに、
二日とたたない内に村の平穏なんて消え去った。
昼夜を問わずに町を武士や馬が駆けぬけた。
『姉ちゃん』
「大丈夫、家で静かにしていよう」
怯えた声でが呼ぶ、正直自分も怖かったけど私がしっかりしなくてはを守れない。
「寄り合いだから行くけど、は出ちゃだめだよ?」
『うん・・・』
今日はこれからの事を決める寄り合い、家の大人である私が出席する事になってる。
幼いを置いていかなくてはいけないのは不安だったけど、参加しないわけにいかなかった。
「遅くなりました」
『殿・・・これで全部か・・』
小さな部屋の中には大人が10人弱。
皆心なしか緊張した面持ちでいた。
村の長が口火を開く。
『さて・・・今回の件、無事に過ぎてくれればいいが、いざと言う時は・・・残念だが村を捨てて逃げなければならない』
『・・・くそ』
『我々にはどうする事もできないのかっ此処まできたというのに・・・っ』
村人達が意見を言い出した時、外がにわかに騒がしくなった。
バタバタと足音と共に村の女性が駆け込んできた。
『殿!!!がっっっ』
「えっっ!!??」
『平家の武士にいぃぃぃぃぃ』
全身の血の気が引いた。
あの火事の中託された唯一の家族の。
『殿っっ落ち着いてくださいっ女人の貴方が出て行ってもっ』
「でもっっ助けなくちゃっっ何処ですか!!??」
『殿の家の前ですっっ』
「狩猟用の弓がありましたよね?・・・いいですか、
私のもしもの事があったら・・・私はこの村の人間ではない・・・そう言い切ってください」
『殿・・・』
「言い切ってください。そしてを・・・よろしくお願いします」
『・・・・分かった』
「今まで良くしてくださって、ありがとうございました」
肩に狩猟用の弓と矢をかけて小屋を出て行く。
村人達がざわつくのを感じた、勿論止めてくる人もいたけど聞こえない振りをした。
振り返らず、前を見て、を助ける・・・それだけを頭に叩きつけて。
平家に見つからないように、隠れながら動いていると武士の中に混じって明らかに人とは違う物が混じってる事に気がついた。
「(まるでゾンビね)」
自分の家まではあと少し、
家の前で縛られて猿轡をつけられたを見つけた何発も殴られたのだろう
遠目で見ても分かるくらい顔が腫れてる。
の周りには3人の武士。
チャンスは1回しかない。
―――ドクン―――
―――ドクン―――
「(静まれ心臓)」
筒から3本の矢を出して構える。
立ち居地に立たなずに座って隠れた体制で矢を打つのは初めてだ。
嫌でも手に汗が滲む。
―――ドクン―――
―――ドクン―――
大きく息を吸い込み止め弦を引く
「はっ」
短く息を吐いた瞬間、放った矢は見事に武士達の額を捕らえていた。
すぐに異変に気がついた他の武士達がこちらをみる。
すばやくもう一本構えての拘束を解く。
確認した瞬間、走りだした。
『あっちだ!!!!逃げたぞ!!!!!!!!』
『追え!!!!!!!』
武士達の目が私に向いていれば村人達はその隙に逃げられる。
私だってまんまと掴まって殺されるつもりもない。
ただただ我武者羅に暗闇が支配する山へとひたすら逃げた。
その先に待っているのが、
自分の運命を返る出来事だとも知らずに・・・