夢だったらよかったのに―――
特別になれた事も―――
幸せと醜い自分も―――
この焼け野が原も―――――――――
【dilemma】 弐話
じりじりと肌を焼くような痛みで目が覚めた。
手や足には清潔とは言えないような布が巻かれていて
巻かれた箇所が痛むのだと気がついた。
『お姉ちゃん・・・気がついた?』
顔を覗き込む幼い子供。
一瞬誰だと考えた末、記憶が途切れる前の出来事が夢でなかったと思う。
「う・・ん・・此処は?」
『村で焼けなかった所に生き残った人が集まってるんだ』
3歳くらいだと思っていたけど、
ずいぶんしっかりしたしゃべり方だった。
「ごめんね・・無理やりつれてきちゃって・・・」
『ううん・・・おいらこそ暴れてごめんなさい・・助けてくれてありがとう』
「いいこだね・・いっっ」
子供を撫でようと伸ばした手に痛みが走る。
『痛む!!??今大人呼んでくるからっっ』
走っていく子供の姿を見送りながら考えた。
此処は何処だろう。
言葉が通じるから日本だろうけど、
こんな古いつくりの建物は田舎の方にいっても見られない。
それに服装・・・とても現代の物には見えない。
私は一体どうなってしまったんだろう・・・
『目が覚めたようだね』
あの時私に叫んでいた初老の男性が声をかけながら入ってきた
手には竹のような入れ物を持っている。
「はい」
『お前さん、よくあの状況で子供を連れて逃げ出せたもんだよ』
「いえ、無我夢中でよく覚えていないんです」
『そうだろうな・・・所で見かけない顔だが、村の者か?』
「それが・・・わからないんです、気がついたらあそこに居たので」
『そうか・・・』
「此処は何処なんでしょうか・・?」
『ここは宇治の近くだよ』
「ウジ・・?」
『源氏の戦が近くでおきたらしい、風向きからこっちまで焼けちまったよ』
「源氏・・・?戦・・って」
教科書の中でしか聞いた事の無いフレーズに固まってしまった。
『何処か頭を打ったのかもしれんな、何もしてあげれんがゆっくり休みなさい』
そういうと持っていた竹の入れ物を置いて『火傷にきく薬だから』と残して部屋を出て行ってしまった。
源氏って・・・
源氏と平家の源氏???
未だに飲み込めない状況に頭を抱えるしかなかった。
『お姉ちゃん大丈夫・・・?』
「うん・・・大丈夫・・・じゃないけど、大丈夫・・・」
『おいら水を汲んでくるっ』
私を元気つけようと元気な声で子供が出て行く。
私どうなっちゃうんだろう。